五行の分類のはじまり-4-
五行の性質
『書経』という春秋時代に書かれたとされる書物に、東洋医学の主要概念となる陰陽五行論の元になる五行の性質のことが記されています。
陰陽五行論を知る上でルールともなるようなものなので一通りブログで紹介しています。
『書経』「洪範」
一に五行。
一に曰く水、二に曰く火、三に曰く木、四に曰く金、五に曰く土、水に潤下と曰い、火に炎上と曰い、木に曲直と曰い、金に従革と曰い、土は爰に稼穡す。
潤下は鹹を作し、炎上は苦を作し、曲直は酸を作し、従革は辛を作し、稼穡は甘を作す。
と記されています。
原文は漢文なのでもっと短いです。
とても短い文章ですが、五行の根本となるような性質がダイレクトに記されています。
『書経』をもとに五行の「水」「火」「木」「金」の順で紹介してきました。
今回は残りの「土」についてです。
五行の中の「土」
「土」の性質は「稼穡」とあります。
「稼穡」は「かしょく」と読みます。
「稼」は「かせぐ」のことですね。
ネットの「漢字ペディア Kanji Pedia」(https://www.kanjipedia.jp/kanji/0000718300)で調べると
① かせぐ。かせぎ。働き。「稼業」「稼人」
②うえる。穀物を植える。「稼穡(カショク)」
とあり、穀物を植えるという意味もあり、「稼穡」も例として挙げられていました。
「穡」の方は、(goo辞書)
① とりいれ。とりいれる。穀物を収穫する。
②農業。「穡事」「稼穡」
③おしむ。ものおしみ。
とあります。
どちらも「農業・農作」に関わる言葉で、土に植物を植えて収穫するという意味があります。
「土」の特性は、農作に代表されるように播種(はしゅ)と収穫ということになります。
これら敷衍して、生化、継承、受納などの作用のあるものは「土」に分類されます。
「土」は他の四行とは若干違う特性があり、それが「五方」で変わります。
「五方」というのは「五行」をそれぞれ方角に当てはめたものですが、このとき「土」は中央に配されます。
「中央」は東洋思想では皇帝の位置となります。
他の書物に「万物は土中に生じ、万物は土中に滅ぶ」とあるのですが「土」は五行の他の物に比べ「土台」的な特性をもっていることになります。
これを「土は万物の母」という言い方をしているものをあります。
五行のページのまとめ
他の五行に関してはこちらも参照してください。
「水」
五行の分類のはじまり-1-
五行のもとになったもの 東洋医学は、森羅万象の事物を5つのカテゴリーに分類することを以前話しました。 この5つのカテゴリーは五行のことです。 東洋医学の五行は「木…
「火」
「木」「金」